宇宙へ旅立った先輩からの連絡は、どんどん時差が出来ている。今日、半年前のビデオメッセージが届いた。
「トラブルで食糧庫がダメになった。でも、なんとかする」
今頃どうしてるだろう?
一年後。
「久し振り!」
先輩の隣には、いわゆる宇宙人がいた。相変わらず、人と仲良くなるのが得意らしい。
月に照らされた先輩には、影がない。ホログラムだからだ。
幽霊みたいと人は言う。亡くなった先輩の脳から作り上げられたAI。
私が好きだった先輩は、もうこの世にはいない気がする。それでも、AIの先輩とは良い関係でいたい。
「君のこと好きだよ」
「私も好きです」
今になって両想いだと分かるとは。
「この薬を飲めば記憶が消せる」と言われた。
私と先輩の思い出を消去すれば、ふたりの繋がりはなくなる。先輩はレジスタンスの一員で、私に迷惑がかかるだろうから、という話だった。
圧政に立ち向かえる先輩は、強い。
「私は、あなたの隣にいたいです」
そう告げると先輩は困り笑いをした。
本物の動物を見たことがない。
先輩にそう言うと、「飼ってる猫を見せてあげる」と言われた。
先輩の家に行くと、黒猫が寝床でくつろいでいる。
「可愛いですね」
「撫でてみなよ」
私は、言われたように、おそるおそる猫を撫でた。ふわふわの毛並み。確かにある体温。私のペットの機械猫とは大違いだ。
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